【新唐人2017年11月3日】
貧しさから血を売った中国の農民が悲劇に見舞われている問題について、外国で報道されるほか、小説や映画も作られています。今日は実際に起きた話を紹介しましょう。河南省の農民、李小賀(りしょうが)さんは、同省が売血運動を呼びかけた1990年代に売血したところ、HIVウィルスに感染しさらに母子感染しました。生活費の手当を得るため陳情活動を行った李さんは、2年の判決を受け、刑務所でも迫害を受けました。
1992年、河南省政府は「ゆとりのある生活を送りたいなら早く売血を」と呼びかけ、当時21歳だった李さんは自身の血を売りました。
李さんの夫 王二宣さん:「家にはこれといった収入もなく、とても貧しかったのです。省が売血を呼びかけたので、省を挙げて売血が流行りました。」
売血ステーションで採血する前にHIVウィルスの検査はありませんでした。違法な採血により、李さんはHIVウィルスに感染し、当時妊娠中だったため母子感染しました。子供は生後間もなく母と同じく発熱、下痢を発生し、痒みを伴う発疹により全身の皮膚が爛れ、血小板減少症を併発し、紫色に腫れ上がり、生死の境をさまよいました。
子供の病状が悪化し入退院を繰り返したため、李さんは村民委員会と郷政府に手当の支給を求めました。李さんは2013年と2014年に北京へ陳情に行きました。それが県や郷の指導者の出世に影響したため、地方政府は「もめ事をわざと起こした」ことを理由に、2015年10月、李さんに2年の実刑判決を言い渡し、刑務所に収監しました。
李さんの夫 王二宣さん:「エイズ患者への生活手当を居住地の政府が支給しなかったので、2013年に北京に陳情に行ったら、子供への手当がやっと支給されるようになりました。2014年にも陳情に行ったところ、拘束されました。両会が開催された2015年は、団体で北京に陳情に行くのを恐れた地方政府が、妻を拘束し翌日刑務所に送りました。その後すぐに『もめ事をわざと起こした』という理由で2年の判決を下されると、5人の子供の中の唯一の娘だったので、妻の母は首を吊りました。」
元中国衛生部健康教育研究所所長 陳秉中さん:「『もめ事をわざと起こした』との判決理由は、要するに、陳情に行くことは違法だと言っていることと同じです。北京や中南海にまで行って政府に面倒をかけるなら、この罪で罰してやろう、と。」
このほか、李さんが手当てを申請していた頃、五龍郷は、低所得者は住宅の改築費用手当を申請できると定めました。李さんは申請の権利を放棄するため役所を訪れたものの、字が読めないため、職員が代わりに申請書類の記述を行いました。後日、裁判所は、李さんが医薬費の手当を申請している時に住宅改築手当も申請したとして、「詐欺を行った」罪をも李さんに科しました。
元中国衛生部健康教育研究所所長 陳秉中さん:「上蔡県は河南省でもエイズ感染がひどい地域で、1万人がHIVウィルスに感染しており、陳情者も大勢います。陳情の波を抑える込む唯一の方法は、彼女を捕まえて刑に処すことです。彼女の逮捕後、同県では誰も陳情に行かなくなりました。」
李さんは刑務所に入所後、ひどい仕打ちを受けます。看守は彼女が重度のエイズ患者だと知りながら、男性受刑者と同じ肉体労働を科しました。李さんは高所に上って窓を拭いていた時に転び、腰椎を傷め、立てないのに、看守らは李さんに立ち上がって仕事を続けるよう強制しました。こうしたことが幾度も続き、その度に看守たちは仮病だと罵りました。李さんは釈放された時、自力で歩くことができず、車椅子で自宅へ帰ったのでした。
李さんの夫 王二宣さん:「今年の2月26日に妻は車椅子姿で釈放されました。河南省の人民病院で検査したところ、医者は、長い間神経を圧迫し続けたので、手術をしないと下半身が麻痺すると言いました。佑安病院で手術を受け、退院した妻のために、身体障害者手帳を申請しました。二級です。」
元中国衛生部健康教育研究所所長 陳秉中さん:「刑務所で李さんは、体が麻痺するほどまでいじめられました。李さんが刑に処された時、私は習近平に公開書簡を送り、彼女は被害者であり、早く釈放するよう、売血を煽った役人を罰するよう求めました。」
85歳の高齢の元中国衛生部所長の陳秉中(ちんへいちゅう)氏は、李さんの身に起こった事件に同情し、報告書を3回中央政府に提出しました。陳氏は、河南省の売血問題を明らかにしたため弾圧されましたが、今なお無辜の被害者のために声を上げ続けています。
新唐人テレビがお伝えしました。
http://www.ntdtv.com.tw/b5/20171030/video/208396.html(中国語)
(翻訳/白白 ナレーター/佐藤 映像編集/李)